*Napoleonic Total War III NTW3 [#t8177ffc] &ref(MENU.jpg,,60%); Total WarのModチームの中で最も長い歴史を誇るThe LordsチームがTotal War最新作、Napoleon Total War用に開発した新作MODがこのNapoleonic Total War III、通称NTW3である。 歴史的にマルチプレイに重点を置いたこのMODチームが新しいNTWエンジンにどのように挑戦したのかについて個人的な批評をおこなって見た。 ダウンロードは以下より http://thelordz.org/mods.html インストーラー、アンインストーラー付き。インストール先は特殊なことを行っていないかぎり初期設定で問題なし。 #contents **歴史考察 [#w392d2af] &size(40){&color(white,green){90};}; &ref(Rekisi.jpg,,40%); 歴史考察という面では、このMODはかなり良い線を行っている。 戦闘、ユニフォーム、能力、速度、そのあらゆる数値が歴史的に正しく修正されている。 **面白さ [#n35a6420] &size(40){&color(white,orange){60};}; だが、この歴史考察に優れたゲームが面白いかというと、微妙である。 つまらないわけではないのだが、バニラに比べ遊びが少ない分、爽快感が低くなっている。 少なくともバニラNTWに比べ、戦術面が強化されているのはたしかだ。 &ref(Teisatsu.jpg,,40%); まず、ETWの南北戦争MODのように、全ユニットに隠れながら動く能力が追加されているため、索敵という重要な要素が追加されている。 また、60以上の新規マップはどれも素晴らしい出来で、どの地形もほどよい戦術性を提供してくれる。 特に「シナリオ付きマップ」は目的達成型戦闘という新しい戦闘形態を見せてくれた。 しかし、このMODの真骨頂はこれらの戦術的修正ではなく、大規模バランス調整のほうにある。 &ref(Juugeki.jpg,,40%); 一番大きな変更点は銃撃の命中率減少であろう。 このMODでは命中率が大幅に下方修正され、長い間撃ちあうか、接近するかしなければ銃撃戦で相手に十分な被害を与えられない。 打撃は白兵戦、もしくは騎兵突撃により与えるものという史実に忠実な価値観が復活している。 しかしながら銃撃は士気ダメージが非常に高く、士気ダメージを与える武器としては非常に強力である。 また、敵が接近すれば接近するほど命中率が高くなるため、士気ダメージと相乗し、銃撃の白兵戦を挑む部隊に対する阻止効果は非常に高い。 そのため、従来はあまり意味のなかった高士気突撃が行える縦列突撃の重要性が高くなっている。 &ref(Casadore.jpg,,40%); 他にも軽歩兵の廃止という一大要素が追加されている。 一応、廃止というと誤解を招きそうなので弁明させて頂くが、完全に廃止されたわけではない。 依然ライフル系の軽歩兵は存在するし、Light Infantry系の軽歩兵もユニットとしては存在する。 しかしながら、彼らはバニラのように散兵としてではなく、銃撃に優れた戦列として登場する。 これにより軽歩兵が一方的に強力な時代は終わったものの、バニラに比べ編成的自由度が少なくなったことは明記すべきであろう。 &ref(Haisou.jpg,,40%); 士気関係のバランスも調整されており、部隊はかなり敗走しやすくなっている。 しかし同時に士気回復も早くなっているため、バランスは取れている。 これにより敗走から士気回復までの間における騎兵による追撃が非常に重要な要素へと変化した。 &ref(Totsugeki.jpg,,40%); 騎兵も大幅に修正がなされている。 銃騎兵と槍騎兵が戦場を支配する時代はこのMODで終わりを告げた。 戦場の支配者は重騎兵に変わり、その他騎兵はそれらを支援するユニットとなった。 だが、その重騎兵も方陣にも弱い。 また、騎兵のヒットアンドアウェイは疲労度の増加と部隊の俊敏性の低下により難しくなった。 そのためプレイヤーはより騎兵の投入により慎重にならねばならなくなった、 **マルチプレイ [#kb43691d] &size(40){&color(white,orange){60};}; 先ほど述べたように、戦闘自体は非情に戦術性の高い戦闘となっている。 しかし、マルチプレイはそこまで面白いものにはならないように見える。(筆者は本MODのマルチは未プレイ) では、何がだめなのか。 &ref(Roster.jpg,,40%); まず、第一に差の乏しさがある。 バニラは差が非常に大きいゲームだった。それぞれの勢力は特化した点があり、ユニットも得意、不得意がはっきりと存在していた。 各勢力に多くのユニットが追加されたため、結局のところどの勢力も似たりよったりであり、勢力差がほぼなくなっている。 つまり、プレイヤーは強い国ではなく、自分が好きな国を選べばいいということだ。 それは幾人かのプレイヤーの賛同を得るかも知れないが、マルチプレイにおいて種類が少ないことはマイナスだとわたしは思う。 またバランス調整によりユニットの差も少なくなり、これものっぺりとした印象を我々に与える。 &ref(Map.jpg,,40%); 第二に時間の問題がある。 そう、このMOD、一回の戦闘にとてつもない時間がかかるのである。 実際にストップウォッチで測ったわけではないものの、一ゲーム、最低30分から膠着が続けば数時間ゲーにもなりそうだ。 &ref(Cost.jpg,,40%); コスト調整もそこまで優れているわけでもない。 フランス、ロシア、イギリスやプロイセンなどの大国は金銭を14000簡単に使い切ることができるものの、ポルトガルや神聖ローマ帝国諸国などは大砲ありでも14000ですら使い切るのは難しい。そのため、国家差というわけではないものの、コスト差による戦力差が存在する。 そして最後にMODの重さがある。 私のPC(GeForce8800にQ8200、メモリ4G)がさすがに時代遅れなせいかも知れないが、最低設定にてGreatWarModと同規模(の人数)で遊んだ場合、GWMはある程度スラスラ動くのに対し、NTW3はかなり動作が重たい。 最新鋭のラデやゲフォなら問題なく動くだろうが、逆に言えば最高スペでないと厳しいと言わざるをえない。 特に、ラグが発生しやすいマルチではこの重さは致命的になるだろう **総評 [#i49cc293] &size(40){&color(white,orange){60};}; もしこれがシングルプレイ向きのMODならばわたしは100を与えたかも知れない。 しかし、これがマルチプレイ向きのMODであるがために、このMODは厳しい評価に曝されねばならない。 ついでに導入したときのメニュー画面では音量を大きくしないよう注意すべきである。 某曲なため、音量が大きければ12ポンドが耳に炸裂することになる